パッシブデザイン 用語解説

AMeDAS(アメダス)データ

Automated Meteorological Date Acquisition System-地域気象観測システム-の略で、1976年完成した気象庁のロボット気象観測システム。全国に約1300カ所設置されています。
OM気象データは、そのうち気温・降雨量・日射量・風向風速の4点観測行っている約840地点についてデータ解析を行い、CD-ROMにまとめた気象統計データです。全国の研究者に限定無償配布された「OM気象データ1985−1994」と、その10年分のデータを標準化した有償配布の「OM標準気象データ」があります。

太陽

直径 1,392,000km(地球の約109倍) 表面温度 5,780K(約5,500℃)
総輻射量 約858,000,000,000,000,000,000,000kW
私たちの太陽は、宇宙にあまたある恒星の中ではごく一般的な星で、4個の水素原子が1個のヘリウム原子にかわる核融合反応からエネルギーを生み出して輝いています。寿命は100億年といわれ、現在の年齢は50億歳というのが定説です
いまから40億年くらい経つと水素原子を燃やし尽し、ヘリウム原子同士が融合する核融合反応に移行します。その時、太陽は、いまの金星の公転軌道くらい(直径 約2億km)の大きさになって、真っ赤に輝く赤色巨星となり、その莫大なエネルギーで地球の海を干上がらせ、大気を吹き飛ばして地球を今の水星のような灼熱の惑星へと変えると予測されています。
まあ、私もこれを呼んでいる方も、その時まで生きている人はいないでしょうけれど。(^^)

平均気温15度

北極から南極まで全てをひっくるめた、一年間の総平均気温。
この気温を地球が維持しているのは、正確には太陽エネルギーによるものだけでなく、地球の中心部の核が、地球が誕生した時の衝突エネルギーを蓄えていて、そのエネルギーを地熱として放散している事も大きな要因になっています。

奥村昭雄

1928年 東京生まれ
1952年 東京美術学校卒業。同研究員として東京芸術大学改築計画を担当
1956年 吉村順三設計事務所
1964年 東京芸術大学美術学部建築科助教授
1973年 同教授。この年木曽三岳村に板倉のアトリエ完成
1978年 木曽三岳木工所設立
1987年 東京芸術大学名誉教授 OM研究所設立
1988年 有限会社木曽三岳奥村設計所代表
2002年 OM研究所所長を退任
木曽三岳奥村設計室ウェブサイト>http://www.quiet.co.jp/

シュミュレーション

OMソーラーシステムを使った建築を建てる場合、ある程度設計が出来上がった段階でそのプランでOMソーラーの効果がどの程度ものか知るために、独自に開発されたソフトを使ってシュミュレーションが行われます。よほど特殊な建物でない限り、計算結果は実測値によく一致し、工事着工前に様々なパターンでの検討を可能にしています。
当初のバージョンは奥村昭雄氏によって開発されたものですが、現在、開発はOMソーラー協会に引き継がれています。

PCM 潜熱蓄熱材

PCMは Phase Change Material の略で、直訳すれば相変化物質。
科学では液体や固体といった状態を物質の相と言うので、液体から固体への相が変化する時の性質を利用する物質の総称。つまり、潜熱蓄熱材と意味は同じです。
ここで使われている潜熱蓄熱材の中身は、硫酸ナトリウム・10水塩(Na2SO4・10H2O)で硫酸ナトリウム1分子に10個の水分子が結合したものです。熱を与えると10個の水分子が分離して液体になり、温度が下がると再び硫酸ナトリウム分子に水分子が結合して固体に戻るという物質です。実測した住宅に使用したものは、融点約27℃、凝固点約24℃。1kg当たり37kcalの熱を潜熱として蓄えることができます。
こう書くと、あまり馴染みのない物のようですが、実はクーラーボックスや保冷剤の中身と同じ物。触媒の種類や量で融点や凝固点を調整できるので、潜熱を利用する品物に幅広く利用されています。
本文中にある融点20℃のPCM蓄熱材はOMソーラー協会で取り扱われていますが、OMソーラーシステムでの使用にのみ限られます。
一般に入手可能ものとしては、深夜電力利用型蓄熱式暖房で使用される融点約30℃のPCM蓄熱材:スミターマル(取扱:住化プラステック)などがあります。

潜熱 顕熱

本文中にも書いていますが、潜熱とは、物質が固体から液体、液体から気体へと相転移を起こす時に取り込む熱量を言い、それに対して物質が普通に熱を帯びて温度が上がっていくときに取り込む熱量を顕熱と呼びます。
水を火に掛けて沸かしていくと、温度は一定の割合で高くなっていきますが(これが顕熱です)、100度に近くなってくるとその割合は緩やかになり、沸騰してからはお湯が無くなるまで100度の温度を一定に保ちます。わざわざ書くこともないような当たり前の事ですが、これは、水が水蒸気になるために熱量を潜熱(気化熱)として盛んに取り込んでいるため、という見方もできるわけです。

熱伝導率

熱伝導率は物体内の熱の伝わりやすさを示す値で、数字が高いほど熱が伝わりやすい。この値の逆数が熱抵抗。
従来単位系ではkcal/m²h℃、SI単位系ではW/m²Kで表される。
文中に出てきた素材の熱伝導率(従来単位系)を示すと、
木材(杉) 0.10  コンクリート 1.38  鉄 38.0 となります。
グラスウールやスタイロフォームなどの断熱材は、約0.03前後です。
熱伝導率の異なる複数の素材が組み合わさった場合や素材周辺の空気への熱の伝わりやすさまで考慮する場合は熱貫流率(K値)という値で示します。住宅の断熱性能などを表す場合はこの熱貫流率で示すのが一般的です。

熱容量

正確には熱容量は物体の温度を1度上げるのに必要な熱量を言うので、文中の表現は少しおかしいのですが、慣例的な用法に沿って表現しています。
これは科学的には比熱と書くのがが正しく、住宅の熱性能など評価する場合には、容積1m³の物体を1度上げるのに必要な熱量を表す「容積比熱」で検討します。
容積比熱(kcal/m³℃) コンクリート 462 杉 230 水 1000

ヒートブリッジ

日本語では熱橋と呼ばれ、熱伝導率が低い素材の中に一部分熱伝導率が高い素材があると、そこが橋渡しになって熱が伝わる事からこの呼び名があります。
鉄骨造などの鉄骨下地の部分で断熱材が切れた状態になっていると、極端な例では、冬の暖房時にもその部分だけが暖まらず、室内の湿気で下地の形に結露を起こしたりします。このような場合には、壁の表面だけでなく壁内部でも結露が発生している事が多く、そうなると鉄が錆びて強度が落ちてしまう可能性も出てくるので注意が必要です。

照葉樹

炭を作る樫、ドングリの椎、椿や榊など葉っぱがテカテカした樹木を照葉樹と呼び、西日本からヒマラヤ山麓までと中東の砂漠地帯を挟んで、地中海沿岸までアジア大陸に広く分布しています。
日本では長野県などの山岳地帯を除いて、東北南部まで広く分布しています。
鎮守の森といえば、西日本の方には鬱蒼とした照葉樹の森が思い起こされるように、狩猟採取文化の頃から現在に至るまで、日本人の原風景として人々の心の中に息づいている木々です。

絶対湿度

気温に関係なく空気1kg中または1m³に含まれる水蒸気量を示したものが絶対湿度で、g/kgやg/m³の単位が使われます。
対して、その絶対湿度値を、その時の温度の空気が含むことができる最大限の水蒸気量(飽和水蒸気量)で割った値が相対湿度で、%で表されます。
絶対湿度(g/kg)÷飽和水蒸気量(g/kg)×100=相対湿度(%)
ですから、絶対湿度が同じでも気温が違うと相対湿度の値は変わります。
ちなみに体感温度は相対湿度の違いによっても大きく左右され、例えば旅客機などに乗っていると室温は28℃なのに寒気を感じる場合があります。これは完全密閉された航空機内で空調が行われるために、相対湿度20%などという異常に乾燥した状態になって起こる現象で、冷暖房時には温度調節だけではなく湿度調整も重要という事を示す端的な事例です。

「ゆい」と読み、茅葺き屋根の葺き替えに限らず、田植えや稲刈り時、また冠婚葬祭など人手が必要な作業を行う際に、集落の人間が互いに協力し合って労働力を提供した組織を言います。地方によっては「合力」などとも呼ばれます。
昔はどこの集落でも在ったようですが、農作業の機械化や生活習慣や儀礼の変化に伴い茅葺き屋根が残る集落以外では組織形態だけではなく、その名自体が忘れ去られようとしています。

茅 茅場

学校でいったいどんな教育をしているのか、近年では茅がススキの別名であることを知らない人も多いようですが、私の少年時代頃までは茅は屋根葺き材としてだけでなく、家畜の飼料や敷き草、田畑の肥料など農作業に欠かせない素材として広く用いられ、どこでも見かける身近な存在であったように記憶しています。
その茅を育てる茅場は農耕地にはできない利水の便が悪い荒地や山肌に作られ、里山と共に、その多くは集落による共同所有地として維持管理されてきましたが、茅の使い道がなくなったいまでは当然のことながらその姿を消す運命にあります。

マメ科

マメ科植物は世界で約18,000種も発見されている植物界の中でも有数の大きな科。
その根には根粒菌という、空気中の窒素を植物の栄養となる窒素化合物(硝酸塩)に変える事ができる菌が共生しています。この根粒菌のお陰で他の植物が育たないような荒地にも自生でき、種を広げる一因ともなっています。
またこの窒素固定作用を利用すれば荒れた土地も肥やす事ができるので、春先の田圃にレンゲを植えて田植え時に土に漉き込んで緑肥としたり、輪作の中で必ず大豆や小豆を育てるようにしたりと、農耕文化を支える重要な植物として古くから活用されています。

生石灰クリーム

生石灰・CaOという名前は付いていますが、成分は漆喰の原料となる消石灰・Ca(OH)2そのもの。
現場で塗る直前に生石灰に水を混ぜて、クリーム状の消石灰としたところからこの名前が一般的になりました。
コテを使って塗れば素人目には漆喰と区別はつかなくなりますが、漆喰が外壁用途を前提としているために石灰石・CaCO層を形成するまでにツナギ材としてノリを必要とするのに対し、生石灰クリームは室内用途限定で薄塗りが前提のため、ノリを必要とせず消石灰だけで塗れるという点が異なります。
また左官壁として平滑に仕上げなくても良い場合は塗料と同じようにハケやローラーでも塗れるので、DIY感覚のローコストな仕上げ材としてもよく利用されています。
生石灰を入手すれば施工はできますが、近年では粒子の品質がそろったレディミックス製品も多く出回っています。

通気層

木造住宅の場合、内壁側に防湿フィルムを張って室内の空気が壁体内に浸入しない措置を慎重に施したとしても、完全に遮断する事は難しく、冬季、室内の空気が高温多湿の場合は断熱層の外側で冷やされ壁内部で結露を起こす場合があります。また、夏季には外壁の微細なひび割れや継ぎ目、窓枠の隙間から浸入した雨水によって壁内部の湿度が高くなり、冷房時に防湿フィルムの壁内側で結露を起こすこともあります。
このような状態を放置しておくと柱や土台が急速に腐って構造強度が激減します。阪神淡路大震災でも、この壁体内結露が原因による柱や土台の腐朽で多くの木造モルタル塗住宅が倒壊しました。
このような腐朽を未然に防ぐため、壁体内に浸入した湿気を速やかに抜く工夫が外壁通気層です。設計者の中でもよく勘違いしている人がいますが、木造在来工法だけではなく、2×4工法でも木造外断熱工法でも必要なものです。
本文中で板張りの場合、通気層の厚みを大きくしていると書いていますが、これは板張り単独では必ず雨が壁内部に浸入するとの前提で、外壁荷重が軽い事もあってより効果を確かなものとするために設定している仕様です。

ワラスサ入り土モルタル

ワラスサ入り土モルタルは、私たちの事務所が外壁仕上としてよく用いる仕上材で、その名の通りモルタル(砂+セメントまたは白セメント)に土とワラスサと左官用顔料を加え、かき落としで仕上げた左官壁です。
土壁風という仕上は、近年他でもよく見たり聞いたりするようになりました。
けれども、そのいずれもが遠目には土壁風に見えても近づいてみると表層的でペラペラなものであったり、ゴツゴツしていて土よりも石の印象に近く、撫でただけで手が切れそうなそうな硬い素材であったりします。
外壁の性能として必要な吸水吸湿性を抑えたための結果と見てとれますが、本来、土壁は吸水吸湿性があるからこそ独特の風合いを醸し出しているわけで、それを抑えてしまうと、やはり土壁からは遥か遠くのイメージにしかなり得ません。
そこでワラスサ入り土モルタルでは、敢えて吸水吸湿性を残し土壁の風合いを作り出しています。
現代の偏った性能至上主義的世界観から見れば、吸水する外壁など「外壁としては不向き」となるのかもしれませんが、それがために他の仕上げでは得難い存在感と、素材内部が多孔質で空気や自由水を多く含むことができるため、夏の強い陽射しを受けても熱くなりにくいという土壁特有のメリットが生かされた左官壁となっています。
ただ、このように吸水吸湿性を残しているので、夜間凍結の恐れがある寒冷地では使えないのが欠点。

放射冷却現象

放射冷却現象と聞くと冬の夜や朝の冷え込みが思い浮かびますが、夜間の放射冷却現象はなにも冬に限った事ではなく、四季を通じて起こる現象です。
日中、日射によって温められた地表(建物表面も含む)は、夜、その熱を赤外線の形でマイナス270℃の宇宙空間に放射します。その赤外線放射により地表面がエネルギーを失い冷えて行く現象が放射冷却現象です。
ところが雲があったり絶対湿度が高い場合、あるいは大気汚染でスモッグ層がある場合には、地表から出る赤外線がそれらによって反射して戻ってきたり、それら自体も赤外線を放射したりするので地表から宇宙空間に放射される赤外線量が減って、地表の温度低下は鈍くなります。
したがって本文にあるように、たとえば多湿で雲が発生しやすい夏の気候の上に、スモッグも多い関西の都市部では宇宙空間に放射される赤外線量は十分なものとはならず、冷却効果は小さくなります。

京都議定書

1997年12月に京都で開かれた「気候変動枠組条約第3回締結国会議(COP3)」で採択された条約で、先進国などに対して2012年までに温室効果ガスを1990年比で一定数値以下に削減することを義務づけた条約。主要国の削減率は、日本6%・米国7%・EU8%・カナダ6%・ロシア0%などとなっていて、全体では5.2%の削減を目指したもの。それ以前の試案とは異なり、各国間で温室効果ガスの排出量の取引ができる「京都メカニズム」が盛り込まれているのが特徴となっています。
京都議定書で削減対象となる温室効果ガスは、二酸化炭素・メタン・一酸化窒素・ハイドロフルオロカーボン・パーフルオロカーボン・六フッ化硫黄の6種類。
「京都議定書」が発効するためには条約を批准した国の温室効果ガス排出量が90年時点の55%以上とならなければならず、2001年に米国が条約からの離脱を表明したためその発効が危ぶまれていましたが、2004年11月にようやくロシアが批准した事により、米国抜きでも二酸化炭素の排出量が61%を超える事となって、2005年2月16日ようやく京都議定書は発効しました。
しかし、既に削減目標を達成したり目処がたった国が多いEU諸国を除けば、日本をはじめ現時点での温室効果ガス排出量が1990年時点を大きく上回っている国が多く、目標達成の前途は多難と言えます。
また排出量1位の米国が離脱し、排出量2位の中国が発展途上国扱いで非対象国となっていたり、問題点が多く、根本的な解決策とはなっていません。
2007年6月追記
オランダの政府系研究機関<環境評価局>は本年6月、温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素の排出量で中国が2006年に米国を抜き、初めて世界でトップになったとする分析結果を発表しました。
同局の発表によると両国の2006年の二酸化炭素排出量は、中国が約62億3千万トン、米国が約58億トンとなっています。

IPCCシナリオ

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によりまとめられた、今後の温室効果ガス排出量の予測シナリオ。各国の専門家により数多くのシナリオが描かれていますが、大きくA1・A2・B1・B2のファミリーにまとめられています。
本文にあるA1Bシナリオは、世界が経済重視で国際化が進むと仮定したシナリオの一つで2100年の温室効果ガス排出量を二酸化炭素濃度換算720ppm(現在の約2倍)と予測したシナリオ。

+1.5℃

+1.5℃という数値は、大阪府が発表している「ヒートアイランド現象実態調査結果」の中の大阪と箕面の温度差を適用しています。
調査結果の詳細については下記PDFをご覧下さい。
http://www.epcc.pref.osaka.jp/ondanka/heat_i/chousa/kekka.pdf

気温実測グラフ

気温実測グラフ PDFファイルより © 大阪府


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